2013年5月18日(土) 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」著:村上春樹 多崎つくるの高校時代の親友 「乱れなく調和する親密な場所」をもつグループ5人(男3人と女2人)が 織り成す不思議な人間模様。 無彩色の多崎つくると その周りのそれぞれの色を持つ人々のミステリアスな絡み合いが、 村上春樹ワールドの中で、脈々と繊細に描かれていきます。 ☆ ストーリーの全体に奏でられる「色」と「音」と「意識」の響きあい ☆ 色を持たない多崎つくると 繋がりあっっていく人々が持つそれぞれの人格を表す「色」 ストリーの全体を包み込むように流れるピアノの「音」 その曲は、フランツ・リストの「巡礼の年・ル・マル・デュ・ペイ」 「田舎を見た時に覚える言いようのない哀しさ」という意味を持つ。 そして、現実とも幻想とも言いがたいような「意識」の絡み合い ☆ 未解決のまま流れていく、いくつものミステリー・・・ 「友人・灰田の行方は?」 「ある種の才能を持つ人に与えられる「死のトークン」の存在は?」 「6本の指が示すものは?」 「シロを襲ったレイプと絞殺の真相は?」 「多崎つくるが何度も見る夢の真相は?」 「沙羅が選んだ相手は?」・・・ そのミステリーに出会う度に、 読む人が、それぞれに感じるままに、 それぞれ独自の世界観が繰り広げられていく面白さ。 ☆ 「たとえ君が空っぽの容器だったとしても、それでいいじゃない。 もしそうだとしても、君はとても素敵な、心を惹かれる容器だよ。 自分自身が何であるかなんて、そんなこと本当には誰にもわかりがしない。 それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。 誰かが思わず中に何かをいれたくなるような、しっかり好感を持てる容器に」 というエリの言葉 ☆ 人間の器は、 もともと色のない、形のない、空っぽの器。 そこに魂が入り込み、 色を付け、形を創造していくもの それを、どんな風にアレンジし、描いていくかは、 あなたの心・魂が決めていくもの。 いかようにも変化することのできる巡礼の旅、今あなたは、どんな旅をしていますか? ☆ いくこ&のぼる |
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