2011年2月25日(金)。
99歳の詩人・柴田トヨさんの詩集『くじけないで』。。。その優しさ、穏やかさに心がとろけ、和らぎました。 明治、大正、昭和、平成と一世紀を生き抜いていらっしゃる柴田トヨさんの人生模様。。。喜び、悲しみ、痛み、微笑み、様々に織り成された人生模様。
トヨさんは、90歳を過ぎて出会った詩作の中で気づいたことを次のように語っていらっしゃいます。
「どんなに辛いこと、悲しいことがあっても、私は両親や夫、倅、嫁、親戚、知人、そして多くの縁ある方々の愛情に支えられて、今の自分があるんだということです」
1992年(平成4年)、ご主人の曳吉(えいきち)さんが天国に召されて以来、およそ20年もの歳月を一人で暮らしていらっしゃるトヨさん。
一人暮らしでも、訪問治療をしてくだるお医者さま、看護婦さん、ヘルパーの皆さん、そして何より息子さんご家族、たくさんの深い愛情に包まれて、今ある自分自身の存在を大切に噛みしめながら生き抜いていらっしゃるトヨさんです。
トヨさんの魂から溢れ出る優しい言葉の響き。。。そこには、限りある命の中に混じり合う「光」と「影」。。。光をより輝かせるための影の存在。。。人生の行道を導いてくれる暗闇の中の灯火。。。そこには、優しく、ゆっくりと心を包み、温めてくださるようなメロディが流れています。
※ 柴田トヨさん詩集『くじけないで』より引用 「くじけないで」 ねえ 不幸だなんて 溜息をつかないで 陽射しやそよ風は えこひいきしない 夢は 平等に見られるのよ 私 辛いことが あったけど いきていてよかった あなたもくじけずに 「さびしくなったら」
さびしくなった時 戸の隙間から 入る陽射しを 手にすくって 何度も顔に あててみるの そのぬくもりは 母のぬくもり おっかさん がんばるからね 呟きながら 私はたちあがる
「空」
さびしくなったら 私 空を見るの 家族のような雲 日本地図のような雲 追いかけっこを している雲たちもいる みんな 何処へ 流れていくのかしら 夕暮れには茜雲 夜には満天の星 あなたにも 空を見上げるゆとりが 必要よ あるがままの人生を 時に、笑顔で涙を流しながら、 時に、自然とおしゃべりしながら、 力強くも優しく生き抜いていらっしゃる柴田トヨさんの人生に |
Books >