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『水仙月の四日』宮沢賢治・作 伊勢英子・絵(偕成社)

2011/03/30 3:51 に 寺内昇 が投稿   [ 2011/05/13 1:18 に更新しました ]
2011年1月18日(火)。

 
『水仙月の四日』 宮沢賢治・作 伊勢英子・絵(偕成社)


水仙月の四日とは、東北などにおいて、雪婆んご(ゆきばんご)が、雪童子(ゆきわらす)や雪狼(ゆきおいの)を駆け回らせて、猛吹雪をおこさせる日。実際に水仙月という月は存在せず、宮沢賢治が名付けたもののようです。

 
『水仙月の四日』宮沢賢治・作 伊勢英子・絵(偕成社)
『水仙月の四日』宮沢賢治・作 伊勢英子・絵(偕成社)

『水仙月の四日』 『水仙月の四日』


吹雪の中、家路へ急ぐひとりの子どもに、雪童子が、やどり木の枝を投げてやります。 

神様のお守りのような魔法の枝、やどりぎ。。。大きな栗の木に宿る寄生植物。 赤い実をつけ、黄金のまりのように輝く。自然と人間を繋ぎ、命を繋ぐお守りのような「やどりぎ」。 

雪に埋れながらも、やどりぎをしっかりと握り締めていたこどもは、東の空が琥珀色に輝き、朝陽が黄金にもえだしたころ、息を吹き返す。 

 自然の恐ろしさと優しさが共存する幻想的世界。宮沢賢治が生み出す雪の精霊たちの神秘的世界。 

群青の空、真っ白な雪、こどもがまとう赤い毛布、琥珀色に輝き、黄金に燃えだす太陽。。。 

いせひでこ(伊勢英子)さんが描く美しい色と形の幻想的世界に引き込まれていきます。 今、はじめて味わう北海道の雪の銀世界の中で、自然の恐ろしさ、美しさ、そして優しさを改めて実感させるような素敵な絵本です。 

   いくこ&のぼる 

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